Haizara-Cho::Suigara-yama 99[Shinsuke Kirita]

魔術劇場で

ハリーさん。こんばんわ。
みんなとケーキ食べてたら
遅くなっちゃって。
気にしてないよ。
今夜はクリスマスだからね。




綺麗な燭台。
魔法使いもクリスマス
お祝いするんですか。




ああこれは今、調合の
魔術に使っていたんだ。
でも魔族の中にも
敬虔なクリスチャンはいるんだよ。
一時ヴァンパイアだったわたしは
どうも苦手なんだが。




あらサラ。
いらっしゃい。
と言ってヴィヴィアンが現れた。

そうか。
メルティのことね。
あの子の世界には私も興味あるの。
でも深い眠りに包まれていて、
私でも自由には行けない。
こんどお話を聞かせてね。
どうぞごゆっくり。




そう言い残すと
ヴィヴィアンの姿は
ブレた写真のように
ぼんやりと薄れて消えていった。




ふむ。
ヴィヴィアンのいった通り、
メルティは深い眠りのなかの
夢の世界にいるから、
訪問者にも特別な眠りが必要なんだ。
それでこの飲み物を調合していたんだよ。




ふうん。これ飲めばいいのね。
サラはゴブレットを手に取った。

効き目がなくなれば
戻ってこられるはずだよ。




きれいなエメラルドグリーンね。
メロンシロップみたいだなと思いながら、
サラは液体を一気に飲み干した。
するとなんだか急に眠気が。




目が覚めるとサラはベッドに
横になっていた。




どこか部屋の中のようだ。



解説）
ハリーの調合した液体は、
メロンシロップではなく、
セリアで買ったゼリー状の粘土、
「カラフルゼリーねんど」を
使っています。