Haizara-Cho::Suigara-yama 99[Shinsuke Kirita]

犬猫同盟

夜は冷え込むようになってきたなあ。
デジャにでもいこう。
とトラ猫は思っている。




今年もあっという間ね。
などと話している。

あ、壁にリース飾ったんだ。
このお店も、
もうクリスマス気分ね。




これね。
ドルフィンの倉庫で貸してくれるの。
毎年同じものを使ってるって言ってたけど、
物持ちがいいんだね。
そういう言い方もあるわね。




店の隅ではマリアが
店に来たトラ猫を呼び出していた。




あなた、猫だったときに、
ジェニーたちのぬいぐるみ盗んだでしょう。
え、あ。あれはすごく可愛かったんで。つい。
でもそのあと、この目出し帽が欲しくなって、
ぬいぐるみと交換しちゃいましたが、
代わりにこれお返ししますから
どうぞ許してください。
野良猫はね。
時にはものを盗まないと生きていけないし、
悪戯しても大目に見てもらえるけど。
猫人間になったら、逮捕されるのよ。
はい、もうしません。




そこに犬顔の人がやって来た。
本人も反省しているようです。
ここは、私の顔に免じてお許しを。
その顔、犬の顔でしょ。
それはそうなんですが。




あなたたち、あまり大きな声出さないで。
とヴィヴィアンが言った。




あ、いいこと思いついた。
マリア、いい機会だから、
この人たちの面倒見てくれない？
私が？
もともと犬猫好きなんでしょう。
それはそうだけど。
この人たち、
半分人間になったばかりで
いろいろ戸惑ってるのよ。
それにあなたなら、
猫と人間両方になれるんだから、
同じような境遇でしょう。
そうなのかな？




それでいい？
トラ猫と犬顔の人は頷いた。
じゃ決まりね。
世話役のリーダーがマリアで、
グループの名前は「犬猫同盟」。
かっこいい名前ですね。
とトラ猫が言った。
まあいいけど。
とマリアが言った。
もしかして、その言葉思いついたから、
こういう展開に？



解説）
ヴィヴィアンの発想は
よくわかりません。