Dec 20, 2007

グニャグニャな年末

  最近は、いくつか仕上げないといけないことがあるのだが、いっこうに進んでいないのです。その一番は学校のレポートで四つ出題されています。明けの十日前くらいには提出しないといけない。やらなあと思うんですが、ぱっと手が出ません。ヤル気が出ればと思うし、いつもヤル気が出たら(ギリギリですが)やるのですが、正月早々レポートに苦しめられるのは嫌なので、ある程度まで片をつけておきたいのです。しかし、なかなか億劫であります。グニャグニャです。

 最近の出来事といえば、こないだ実習に必要なので、健康診断を受けました。幸い異常はなかったのですが、背が2cm伸びました。まあ、計測器の誤差なのだろうと思いますが、30過ぎても背がのびるというのは、慶賀なことなのだろうか。あと、昨日寝ていたら、突然鼻血が流れ出して枕を汚しました。鼻血は、もう何年も出ていないので、背といい鼻血といい、僕の体は何かありあまっているのでしょう。

   ありあまっているといえば、最近ドストエフスキーの小説『白痴』を読んでいるのです。純文学に抵抗のある方や、長編が嫌いな方は抵抗があるかもしれません。また、通というのが適当かわからないけれど、詳しい方は、『カラマーゾフの兄弟』、『悪霊』、果ては『永遠の夫』あたりをすすめるかもしれません。
 なぜ、『白痴』なのか?勘なのです。この小説はまだ第一編までしか読んでませんけれど、主人公のムイシュキンがどんどん事件に巻き込まれていくのです。いや、すすんで修羅場に出向いていって、さらに話をややこしく、過激に進行させる車輪になっているのです。これは、難しい小説が嫌いな方でも面白いと思います。ドキドキなんです。
 ムイシュキンは不思議な人物。知らないところや招待されていないところへいっても、奇妙なやわらかい雰囲気と、なにをいいたいかわからないんだけど、誠実な感じの物言いでうけいれられていくのです。しかし、一方で「白痴」ともいわれてうさんくさがられます。僕ももしやムイシュキンは、悪人ではないのかと思っています。実は、悪人と善人はそれほど隔たりのないものかもしれません。善も悪も何らかの価値を前提にしているわけで、そういうものをグニャグニャにしてしまう何かがある。もしかしたら、悪っていうのは、みなが前提にして、さらにそのことすら忘れている価値を根底から、ぐにゃぐにゃにするものなのかもしれません。そんな風にも思います。
 ありあまっているといえば、ムイシュキンだけでなく、出てくる人みんなが濃い上によく話します。どんどんしゃべる。しゃべることによって、秘密まで話して、また事態が展開して、どんどん、物事が思わぬ方向に転がっていく。これも、物事の筋をへし折るグニャグニャの醍醐味です。
 ムイシュキンは、みんなが普段言わないことを話させる雰囲気の持ち主なので、ムイシュキンが聴いたことをまたしゃべったりしてしまうことで、どんどんおかしな方向に行く。その結果、いろんな事情があけぴろげになって、これからどうなるんだろうという感じです。

     他聞に漏れず、僕もうっかり口をすべらしたり、感情をあらわにしてしまう方です。実はそうではないのかもしれませんが、わりかた言ってしまうほうなのです。なぜなら、云わないことにより後悔したくないからです。けれど、云ってしまって後悔することも多く厄介です。

 昨日、田中宏輔さんより、新しく出た2冊の詩集(一冊は詩論集として読める。The Wasteless Land.ⅡとⅢ)が届きました。宏輔さんありがとうございます。美しい装丁です。昨日いろんなものが「咳」をしだす詩を読んだり、ページをくって、ちょこちょこ眺めていました。以前、宏輔さんとぽえざるで会った時、僕の「ふたつのキ」という詩をみて、「木と気を使って僕も詩を書いたことがある」と仰ってました。それに該当するだろう部分を見つけて、あの時仰っていたものはこれかなと思っていました。年末から1月は忙しいですが、じかんを見つけて少しずつ読んでいこう。
Posted at 13:08 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
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