Apr 11, 2009

国立トレチャコフ美術館展  忘れえぬロシア

onna-iwan
(忘れえぬ女・イワン・クラムスコイ・1883年)

 桜の散りはじめた、あたたかな9日の午後に、澁谷Bunkamura ザ・ミュージアムにて、寒い国の静かな絵画たちに会いに行ってまいりました。おだやかな空間のなかで、しばしの時間を過ごしました。

 ロシア国立トレチャコフ美術館は12世紀の「イコン」からはじまり、約10万点の所蔵作品があります。この美術館の創設者「パーヴェル・トレチャコフ(1832-1898)」はモスクワの商家に生まれ、紡績業で成功して、その利益を社会に還元しようと数多くの慈善事業を行ないましたが、とりわけ力を注いだものは「ロシア芸術家によるロシア美術のための美術館」であり、あらゆる人に開かれた公共美術館の設立でした。トレチャコフは1880年代から自宅の庭に立てたギャラリーでコレクションの一般公開を始め、1892年には亡くなった弟のヨーロッパ絵画の収集品と併せてコレクションをモスクワ市に寄贈しました。彼の死後、住居も展示室へと改装されて、ワスネツォフの設計による古代ロシア建築様式の豪奢なファサードが建てられ、20世紀初頭には現在のような姿になり、ロシア革命後、国に移管されました。

torioi-wasiri
(鳥追い・ワシーリー・ペローフ・1870年)

 国立トレチャコフ美術館の所蔵絵画のなかで、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシア美術の作品は、同時代を生きた創始者トレチャコフがとりわけ熱心に収集したものです。この美術展は、その所蔵作品の中からロシア美術の代表的画家、レーピンやクラムスコイ、シーシキン等、38作家による75点の作品を紹介しています。このうち50点以上が日本初出品だそうです。19世紀半ばからロシア革命までの人々の生活や、壮大なロシアの自然、美しい情景を描いた作品と共に、チェーホフ、トルストイ、ツルゲーネフ等の文豪の肖像画も加えて構成し、リアリズムから印象主義に至るロシア美術の流れを追う展覧会でした。革命までの歴史は以下のとおり。

1904  日露戦争(-05)
1905  第一次ロシア革命、血の日曜日事件
1914  第一次世界大戦勃発(-18)
1917  ロシア革命、ロマノフ王朝の崩壊

 19世紀から20世紀前期のロシアは、まさに歴史に残る偉大な芸術家の出現した時代だと言っても過言ではないような気がします。音楽では、アレクサンドル・ボロディン、モデスト・ムソルグスキー、ニコライ・コムスキー=コルサコフ、ピョートル・チャイコフスキー、セルゲイ・ラフマニノフ。文学では、イワン・ツルゲーネフ、フョードル・ドストエフスキー、レフ・トルストイ、アントン・チェーホフなどなど。

《追記》

huyu-nico
(冬・ニコライ・ドゥボフスコイ・1884年)

この↑絵画を行きつ戻りつしながら、何度も見つめてしまいましたが、この絵は「モネ」の「かささぎ」にとてもよく似ていました。「かささぎ」は彼がフランスのエトルタに滞在していた1868年の冬に描かれたようです。

mone-kasasagi
(かささぎ・モネ・1868年)
Posted at 02:27 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
WriteBacks
TrackBack ping me at
http://haizara.net/~shimirin/blog/akiko/blosxom.cgi/nikki/20090411022501.trackback
Post a comment

writeback message: Ready to post a comment.













Captcha:
To prevent comment spam, please retype the characters in this image:

Enter the text here: