May 17, 2008
ウルビーノのヴィーナス
十五日は快晴。二日続きの雨と冬に戻ったかのような寒さからやっと開放された日の午後、上野の国立西洋美術館に行きました。
この展覧会では、古代、ルネサンス、そしてバロック初期に至るまでの、ヴィーナスを主題とした絵画と彫刻、調度品などが集められていました。ヴィーナスの神話が古代で一旦途切れて、ふたたびルネサンスの時代に蘇り、ほかの神々とともに美術のモティーフとして復活します。古典文学の復興と相まって、彼女は多くの美術作品や本の挿絵などに登場するようになりました。フィレンツェでは哲学的な議論を背景として、ヴィーナスは慎み深く表現されましたが、ヴェネツィアでは官能的なヴィーナスが表現されています。その代表的な作品が、ヴェネツィア派を代表する画家ティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》ということなのでしょう。
愛と美の女神であるヴィーナスは、もとは古代の女神。多くの神話におけるヒロインです。神話の一場面として、あるいは単独で表わされることもありました。そして彼女の傍らには、しばしば息子のキューピッドも登場しています。
このヴィーナスは、絵画や彫刻の世界だけで表現されたわけではありません。婚礼の際に花嫁が持ってゆく「長持」「キャビネット」「タペストリー」「小箱」「食器」「水差し」などの調度品にも描かれていましたし、女性の装飾品のモチーフにも使われていました。この場合のヴィーナスには、「花嫁の幸福」や「子供が無事にさずかりますように。」という願いが込められていたということです。でもヴィーナスは「パリスの審判」に見られるように、決して貞淑な女神ではなかったのですけれど(^^)。。。あああ・・・・・・美しいものはひとの運命さえ変える。花嫁は美しい子供に恵まれ、幸福な母になれたのでしょうか?
わかりませぬ(^^)。
【付記】
某所で、ある詩人が書いていらっしゃった言葉がとても心に残りましたので、ここに記しておきます。この言葉は「ヴィーナス」にも通じるものではないでしょうか?(……と勝手な解釈。笑。)
『イエス・キリストは表現を通じてこの世に復活する。』
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