Jul 16, 2008
ホテル・ルワンダ
テリー・ジョージ:監督
(イギリス・イタリア・南アフリカ共和国合作・二〇〇四年制作)
キャスト
ドン・チードル:ポール・ルセサバギナ
ソフィー・オコネドー:タチアナ・ルセサバギナ
ニック・ノルティ:オリバー大佐
ホアキン・フェニックス:ジャック・ダグリッシュ
ジャン・レノ:テレンス社長
ファナ・モコエナ:ビジムング将軍
この映画はアフリカ版「シンドラーのリスト」と言われている。
映画を観たあとで、人間が生命の危機と殺戮と騒乱のなかで、自らの生き方をどのように見定め、生きてゆくのか?こうした根源的な問いかけをされた思いがいたしました。人間は幸福で穏やかな日々を生きることがなによりなことではあるが、何故か人間の真実が正しくあぶりだされるのは、こうした極限状況であることは皮肉なことだと思います。
撮影はほとんど南アフリカで行われた。一九九四年アフリカ中部にあるルワンダで、ツチ族とフツ族の民族対立による武力衝突「ルワンダ紛争」が勃発した。フツ族過激派がツチ族やフツ族の穏健派を百二十万人以上虐殺するという状況の中、一二〇〇名以上を自分が働いていたホテルに匿ったホテル支配人の「ポール・ルセサバギナ(Paul Rusesabagina)」の実話です。
「ポール・ルセサバギナ」は「フツ族」、その妻は「ツチ族」、このはざまでの葛藤を超えて、彼はホテルにツチ族やフツ族の難民をともに受け入れることを決断する。有名ホテルとしてのステータスを盾に人々を過激派からかばい続ける一方で、ホテルの支配人として培った人間関係を利用して彼は一二六八人の難民の命を救うことに成功する。
ここで、非常に感動的なシーンが展開する。「ポール・ルセサバギナ」は単に難民を守ったわけではない。ホテルにある電話をすべて難民たちに開放し、難民たちに親戚、友人、知人たちにこの惨状を可能な限り伝言させたことだった。これは決して無駄な計画にはならなかった。素朴で平凡な人間たちの力の結集は世論を動かす力になりうるということを伝えていました。
さまざまな苦難を丹念に誠実にクリアーしながら、ルセサバギナ一家とホテルの難民たちがツチ族反乱軍の前線を越えて難民キャンプにたどり着き、そこからタンザニアへと出発するところで映画は終わる。
「フツ族」と「ツチ族」は同じ言語を使い、農耕民族であるか遊牧民族であるかという違いでしかなく、白人による植民地支配のはじまりによって、これが二つの部族対立を生んだのではないか?植民地支配は終わっても、かつてのゆるやかな部族関係は再び戻ることはない。いつでも思うことだが、人間の歴史は侵略の歴史であり、そこで失われた素朴な部族意識や信仰、言語はふたたび戻ることはない。
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ロレンツェのオイル
ニック・ノルティを知ったのは、我が家の古いビデオデッキで初めて録画した、この映画でした。スーザン・サランドンと共演でした。何度も見て、ニック・ノルティのファンになりました。
>そこで失われた素朴な部族意識や信仰、言語はふたたび戻ることはない
さっき読んでいた姜尚中の「悩む力」は、自然科学の進歩が同じ弊をもたらしたと説いています。この本、面白いですよ、いろいろと・・・(^^)。
Posted by リベル at 2008/07/17 (Thu) 03:07:27
ドン・チードル
ニック・ノルティも素適ですが、この映画ではジャン・レノが素適でした。もちろん主人公の黒人俳優のドン・チードルは清潔感にあふれ、この役にぴったりでした。
姜尚中の「悩む力」もいつか読んでみます。
Posted by あきこ at 2008/07/17 (Thu) 17:44:01
http://haizara.net/~shimirin/blog/akiko/blosxom.cgi/movie/20080716120308.trackback
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