Sep 11, 2009
オルフォイスへのソネット・・・メモ2
ふたたび冒頭の「第一部の(1)」の4行について、お2人の邦訳を並べてみました。
すると一本の樹が立ち昇った。おお 純粋な超昇!
おお オルフォイスが歌う! おお 耳のなかの高い樹よ!
そしてすべては沈黙した。 だが その沈黙のなかにすら
生じたのだ、新しい開始と 合図と 変化とが。 (田口義弘訳)
そのときひともとの樹が生い立った。 おお純粋の昇騰!
おおオルフォイスは歌う! おお耳のなかに聳立(そばだ)つ大樹!
そしてすべては黙っていた。そして沈黙のうちにさえ
あらたな開始、合図、変化が起きつつあった。 (生野幸吉訳)
「メモ1」では、先走りの解釈をしてしまったようですので、改めて書いてみます。まず「オルフォイス」の歌声あるいは竪琴の音色だろうか?それによって、1本の(ひともとの)樹が超昇(昇騰)するのですが、これは耳のなかに聳立つ樹なのでした。あくまでもここでは聴覚の段階です。しかしそこには沈黙もあり、その対比のなかで、なにかが起きるであろうという予感です。大変すぐれたプロローグとなっています。「うつくしい耳鳴り」と言ったら叱られるかな?
《追記》
過去ログを検索しましたらリルケの「若き詩人への手紙」について書いた日記が出てきました。リルケに拘り続けた原点をみつけたような気持でした。
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