Dec 03, 2005
点子ちゃんとアントン エーリヒ・ケストナー
何故か偶然に「アントン」が続く。まぁ。名前ですから、不思議ではないでしょう。
このアントン少年は、同作家による「エーミールと探偵たち」の主人公のエーミール少年と、ほとんど同じタイプの少年である。これについて、ケストナーは「このような少年は世界にいくら大勢いても足りないし、将来いつか非常に役に立つ大人、私たちが必要とする大人であるからだ。」と解説する。
たしかにアントンは貧しい病気の母を深く愛して、看護し、家事をやり、学校にも行き、お金のために働きもした。そしてお金持の点子ちゃんにとっては最高の友であり、正しいボディーガードだった。この二人は模範的な少年少女なのだ。
点子ちゃんが空想好きのちょっとおかしな少女であり、疑うことを知らない天真爛漫さが、この物語の躍動感となっているが、全体としてはかなり教訓めいた作りになっている。それは物語の合間に、作者はたたみかけるように、登場人物の過ちや正しさについて解説してしまうからだろう。エーリヒ・ケストナーはかなり多くの児童文学を世に送り、高名な児童文学者ではあるようだが、読者に判断をゆだねないというところは「ちょっとねぇ。。。」という気持にさせられる。作者は読者を自分と同じ方向へ行くことを望んでいるようだ。
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