Milky Way
鵜飼千代子
やさしさが舞い降りる夜には
てのひらの温度が少しだけ
高くなるのかもしれないね
指の透き間から流れて行く光たちは
零れて終わってしまうのでは無くて
それぞれの辛い道のりを
苦しみや優しさを背負いながら
きっと誰かに辿り着いていく
いつでもその場所から
指先を握り返してくれていたから
擦りむいた膝にバンドエイドを貼って
ここまで歩いて来られたのかもしれないね
明日も朝がやって来て
日めくりは数字を重ねるけれど
楽しい日ばかりが待っている訳じゃ無い
生命線が天の川のように
ゆるやかなカーブを描いて
昨日までもこれからの日も
静かにわたしを銘している
明日もあなたのもとへ
温もりを届けられますようにって
祈っている
2000年 WEB小詩集「さやけき」所収