叫びたいと希み

叫びたいと希み

冨澤守治

むしろ叫びたいと希み
果たせぬ夢を希み続ける
ただ、いまは。いまはせめてとも思い
夢の代わりに、歌だけでも謳うしかなくて、ただそれだけ

自然にこころは放蕩
きままに音を奏ではじめてしまう
かりそめ、それほどまでに、そうあたかも心は恋する若者のごと

そんなにも、ずいぶんと長いあいだ、途方もなく
黙り続けていたのだ 歌声は少しは大きくなったか?

ただもう黙ってはいけないのだろう
これもそれも、新たに始める

長い、本当に長い夜
その夜の沈黙がやがては明ける
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夜更けに乗ったバスの最終便が行った
その通りすぎる風に、わたしはふと思い始める
これに乗り、どこか遠くへとまだ見ぬ幸せな世界に、土地に行けるのだと

わたしのいまのありさまと夢
その差はこの夢を笑うか笑わぬかだけなのだ

こころはなごみ、名残り
思いは深まり、果たせぬ夢
全天のもっとも明るい星はかがやき 歌声のごと
どこか地平の彼方から聞こえてくる、遠く呼ぶもの

今夜の最終便は出て行ってしまった
聞こえ始める、天性にある希み行くこと
この大宇宙のなかで
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いくつかの区切り、いくつかの地平
遠のいていく記憶、それさえも許せず
自らは全知全能であれ
それがどれほど不当な要求であれ
謎めいてはいない

いくつもの裏切り
時間が経てば、いずれはわかってしまう
あのとき気づいているべきだっただろうか?
しかし気づいたとしても、いったいなにができただろう

わたしに起こったこと、それはだれにでも起こったことか
あるいは起こりうることか
いまさら復讐でもない、償わせることてもできない
しかし正義は常にわれにある
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たまり続ける精液
女性であれば月満ちた卵子か
もったいなくも捨てていく時間
機会としての時間

時間は常に深淵
出会う機会であり、そうする余暇があり、時の様相は「ときめく」
すべての時間に共通していること。「時」は「貴重だ。」

「少子化」が叫び続けられている
いったいそうしたのはだれなのか!
答えよ!狂気を宿したひとたち

若者たちは貧困化している?
中年も高年も、「格差」のなかにいる
ただ一部のなんとか闇雲に人生を送ってきたひとたちさえ残せば、揃えておけば
建前だけ、企業も組織も残っていくことができる

それで?
国とかこの社会は生き残れるのか?、とんでもないことだ
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わたしはそれでも夢を見ている
いつか天国のような国が来るのだ
「平和、heiwa」で「令和、reiwa」な国、子音の違いひとつしかないふたつの言葉
このことを、まだだれも気づいていないのかもしれない
これらに結びつく仕組みとなにをなすべきなのかもを

わたしはそれでも夢を見ている
いくつもの複雑な細部もくっきりと見て
すべからく最終バスの通り過ぎた夜更けの
天空の大空と大宇宙に思いを馳せる
少なくともこれは狂気ではない

こころは慈愛に満ち溢れている
それゆえに絶望などはしていない
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きっとわれわれは、あるいはわたしもある歴史の時代に生きているのだ
あとから見れば、とてつもない暗黒時代、稚拙な時代、まどう「とき」
しかしこの歴史も事実としてひとは受け入れざるを得ない

胃潰瘍でひとが死ぬことが稀な時代、癌でさえも薬で抑え込み得る時代
これが江戸時代ならどうなった。ひとはその時代を生きなければならない
身分が人々を分かつ時代、家の制度が個人の幸福を踏みにじる時代
があった?いやいやあるいはいまもそれはあるのかもしれないけど

むかし単純に地球の大気は有限の高さしかないと7歳の子供は聞いたそうだ
そのフタのある世界で「あの工場の煙はどうなるんですか?」と聞いたとき
大人たちは戦慄した。「この子供は公害訴訟に興味がある。親はどの政党だ?」
話は政治的イデオロギーと社会中に浸透していた党派争いに転換していった
馬鹿げている。どこまでも馬鹿げていた。でもいまもそんな大人はいるだろう

なにもかもがイデオロギーになる、本来の主旨と切実な要求は忘れられる
戦いの道具、糸巻きグルマになんの関係もない誰も彼もが巻き取られていく
それで無知なる人間は、そのことしか考えられなくなる

2階の校舎で雨上がり、窓の外、授業中ゆるくたるんだ電線を流れる雨の雫がとても
キラキラとしてきれいで、見とれていた子供は
「授業を聞かないで、ボーと注意を散漫にしている。」と言われた
だれが言ったか?文句があるのか?オイッ!、不愉快な話だ
そして半世紀以上も経ったいまもその子供はそのときの感受性も忘れず
こんな詩を書いている
だれがあの「しずく」の美しさを忘れるものか!
詩人たちよ、ゆく雲に差す光のまばゆさにも常に敬意を払い、戦うことを誓え!

ひとに科学で分析可能な傾向は存在する。しかし理性はそれさえも取り込み、考え、
管制していく。多様な諸条件に制約され、専門家たちのいうのと似た行動は確かに、
よく在る。わかったようなことを言うひとたちの言う「予言」は「せっとくりょく」
がある「いちぶぶん」なのだ
社会と全体を見る総合力、良心的で理性的な判断と行動を見えなくしてしまう

こんなことはいくらでもある。もうやめておこう。疲れる。
例えばー。就職で「容姿淡麗」という言葉は「復活していない?」と聞くと、大半の
女性が「復活?消えてないよ!」と返事が返ってくる
日々、聞くに耐えないもう解決したはずのどこか似たような話が報道されている
この世界中で誉められ、「尊敬されている」この国は一体なにを解決できたのだろう
解決はできたにしても、なんとも時間がかかることだ。もう、本当に疲れる

偏見に満ちた暗黒時代、稚拙な時代、無責任な発言をするひとたち
ひとをさいなみ、誹謗・中傷し、貶める偏見たち、そして無知と恥知らず
それらはいまも続く。少しは、なにかが良くはなっても、人心の荒廃した時代
時代と狂気が霧かモヤかのようにあふれる
それでもひとはそんな歴史のなかで生きていくほかはない
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いまもいつまでも格闘と苦悩は続くということ
これだけはだれも忘れるな
夢は、見よ
嘆きに果てるな、みなびとたち

明日にもわたしの手紙が届く
ポストに昨日わたしが投げ入れた手紙は、郵便局の差仕立て場で打ち拡げられ
取り揃えて消印機に入り、区分機を流れて行き先ごとに仕分けされ郵便車で送られる
それから到着局で配達順に並べられて、ついに郵便バイクは走る

届いたら考えてくれ、わたしには連絡しなくてよい
慈愛への道に、時間は待ってはくれない、待ったほうがいいか?
最終便のバスが出てしまうまでに済ましてしまおう

全宇宙に語りだすとき
確かに詩人はわからない謎の文字で天啓を伝える
せめてわかる文字で書いてくれ!それもそうなのだが

どれほど歌い外れて、変調が多くとも
謎めいた文脈のうちに常に答えはあるもの
答えはあるもの
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