枯れた藪を通る
清水鱗造
指で挟むと細かく壊れるように乾いている葉
蔓 小枝 そこに冬の日が射す
冬の休日の
眩しいが優しい光に満ちた藪
かき分けて進むのは
僕ではないかもしれない
それは僕が好きな人かもしれない
白い野を辿るのは僕なのだが
僕を好きだった人が通り
たぶん僕が好きな人も通る
そんな甘く物語ふうに味付けする野でもないかな
でも
きっと乾いた草の葉を指でちょっと揉んでみたり
蔓の先の乾燥した実を空に透かして見たり
冬の野を
歩いてみたりするのは
僕だけではないだろう