街角にて -酒菜1丁目1番地、書き流し詩、昨年の続編-
冨澤守治
世界はあざやかである
そしてこの街角もまぎれのないもの
街角は騙されることもなく、自らを不明にせまらせることもなく
息を吸い、吐き、そして生きてきた
しかしひとは幸福をつかむためには、他人に「かんけい」を求め
どうしても誰かの肩をいきなり、これまたつかまなければならない
恐怖と不快をさけるためには
こちらの容姿や、礼儀や、あるいは他人の欲求に応えなくてはならない
これだけでも他人と「私」の溝の深さが、底なしに見えてくる
街角は一応は安全ではある
しかし本当にそうであるのか
以前にも疑ってみたこともあるが
ほんの少し前からふたたび疑いを持ちはじめている
この街角と世界は、これから何十年かも健やかであるのか?
誰も答えを持ってはいない
街角は街路へと続いていく
行く男と歩み向かって来る女
誰も無粋ではないか、着飾っているか
好ましいものか、不快であるか
幾つもの印象を残していく
このひとたちはこのあとも何年か、どうしていくのだろうか
そして人生の理想は?、何を達成していくのだろうか?
問いばかりが残ってしまい、この時間もまた過ぎ去っていくだけ
街角はいつでも無人の、透明の色に戻ろうとする
私は手をかすこともできないのだろうか
そしてこの私の、居ても立ってもいられない誠意と不安とは!
なにものなのだろう
街角は?
これだけあざやかに姿を佇ませているのに
かくも不安が付き纏う、街角
つまりは
街角はひとを誘う
しかしひとは孤独である
これは同じことの両面なのだ
しかしてうまく自分を包み込む幸福な世界を達成したものは、、
これもまた少ない
街角にとって、この私も
行く雲と同じ、さまよえるひとの、ただひとり
それでしか無いのだろうか
そうでないように願う
しかし同じ言葉だけを、いつまでも私は思い続けている