蒼窮の ささやき
TISATO(一瀉千里)
ふいに 突き落とされた
暗くて深い部屋に
わけがわからない
次第に かたくなになる
出口が見えない
部屋の壁は どうみても真っ黒
魂の灯火も 見あたらない
両の手を宙に上げて
中に何があるのか 大きく掻き回して
さぐる
好きこのんで 入室したわけではない
何故 こんな部屋に居ることになったのか
祭りは いつの間にか消えてしまった
どこからか はっきりとした怒声
痛みが掟なんだよ
ぬらぬらとしたコールタールのような
ねばっこく切ないものが
うねるように押し寄せてくる
時々 一部がピンク色に変色する
暗示している 感覚的に
いやでも何でも同化するしかない
急いで 己を仮死状態にする
生き延びる為の最終手段として
本音は 爽やかな風が恋しい
風鈴の音が聞きたい
クリスマスの ハンドベルでもいい
果てしない青空を 自由きままに
手をつないで飛びたい
そのほうがショウに合っている
いつからか 感じられなくなった
おきまりの展開なのか
頭を抱えて うずくまる
再び声が聞こえてきた 別な方向から
さっきとは違う声だ
かすかな声で繰り返す しきりに優しく
眼を閉じて じっと耳を澄ませる
やっと聞こえた 確かな声だ
あなたは あなたで いいんだよ
と言っている