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声 --- 時計
声
不可能な望み
光や風や土地の傾斜が
私たちを遠く隔てていても
憧れが空にとけるとき
遥かな類を抱いているから
時の裏側で きっと
顔のない家族になれる
とその声は言う
初出「断簡風信」67号(1993年) 「鳥たちのための小品集より」
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時計
あなたのなかには
いくつかの時計があって
それぞれの時間は異なっている
たった一つだけ止まったままの時計もある。
真夜中の十三時が鳴るとき
わたしはちいさな蝋燭を持って
あなたの止まっている時間まで
たずねてゆきます。
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