[ NEXT ][ BACK ][ HOME ][ INDEX ]
睡眠詩篇 --- ららばい
睡眠詩篇
お眠り
わだかまる頭蓋の襞の
燈火をひとつひとつ
消しておゆき
不眠の
君の窓にも冷たい
虚無のガーゼをたらして
お眠り
昼間追い求めたのは幻の翼
こみあげていた熱を
なだらかな傾きに放ち
不眠の
君の額に残る燠が
きれいな水滴に変わるのを夢みながら
初出「VOWEL」1号(1980年)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ららばい
夜空の奥から はるかな時を超えて
あの歌声はいつも聴こえています。
どこにも託されることのない眠りが
あてどなくくりかえされてゆく夜
みずからのいのちの重さをはかりかねて
揺れ動く闇のなかに手をさしのべて
天から降ろされる秤をさがしています。
もしもあなたに神のかいながあるのなら・・・・・・
神の言葉を持つのだとしたら・・・・・・
まぼろしのかいなに
ちいさな脳髄をあずけると
涙の細い一筋は耳にながれこみ
微熱ののこる言葉は
水のなかにしずかに閉じ込められました。
(2005年11月)
[ NEXT ][ BACK ][ HOME ][ INDEX ]