2018/9 [HOME]

++ 日記 ++

2018/9/24(MON)
ヨーイ

今日、トーキョーという町の女友達から電話が来た
と書きかけて、消した
何を感じたからかわからないけど
詩のスタートラインになると思ったのだが
ヨーイドンの、ドンが鳴らない
なら
自分で「ドン」と叫べばいいではないか
自分に自分に号令をかければいいではないか
たぬきのような天井の木目が言う
 かける かけない かけた かけなかった
 かいてみれば かかなくても・・・
自分で自分のこと、わからないんだろ
どうせ自分で決めたふりして他人まかせなんだから
オレはこのオレを頼らない
まだ知らない明日のオレを信じる
沼地にひそむ透明な魚よ
ドンと言ったら、ジャンプしてくれ
 ヨーイ・・・・・・・・・・・・・ドン!
チャポンとひとつ 詩ができた

小津安二郎の「彼岸花」を平田でみた。
よかった、と一言ってあとは黙っていたい。
田中絹代の物言わぬ演技。
浪花チエコのべらべらうまさ。
何より脚本の素晴らしさ。
泣けた。なぜか何度か泣いてしまった。気持ち良し。

2018/9/22(SAT)
190
ない ない ことばがない
この2018年9月4日夜10時47分時点での ことばがない
ノートを開けばまだ 色のある言葉もいる
だが 今のことば 今前後1分ほどのことばがない
明日のことば わからない
きのうのことば もう消えた
今のことば ほしい
だって生きているんだもの
いましか生きてないんだもの
ほら ここ見て 書き終えた
今前後1分ほどのことば

191
ジャズを聞いている
大きなスピーカーの真ん前で
ピアノのささやき ギターのかけ足
ベースははにかみながら
散らばりそうなサウンドをまとめている
オブラートのように

それがわかる いままで
知らなかった
ベースの役割
大きいなりして そのくせ目立たなくて
きまった旋律に加わらず
黙々と そう
地ならしをしている

他のメンバーが
うめき声を上げ 洗い息を吐くのを
見えない糸を引いたり遊ばせたり
ベース さしずめ鵜飼の鵜匠


2018/9/21(FRI)
189
すこしばかり陽が射してきた

11月の図書館の窓のそと
あるのは
少しの青とグレー
陽の色は…
音は?
イスを引きずる音
咳払い
ここにあるのはこれだけ?
「陽が射す」ということばが想起せしむるもの
期待
希望
ぬるむ

すこしばかり陽が射してきた


2018/9/16(SUN)
182
食器洗いをしていた
先に洗い桶に残っていた食器をかたずけていた
ごはん茶碗を戻すとき、妻のにおれの茶碗が重なって置かれた
瞬間、ヒワイという言葉が現れた
どこかから 秋の晴れた一日に忍び込んだヒワイ
あわててそれを振り払い
エンドオクナッタその言葉を振り払い
食器を洗うために蛇口をひねり
したたかで陰にひそんでずるい目をした
そいつを(なぜか)洗い流そうと
湯を強くなおも熱くした

183
今日は心を開いている
といっても5センチぐらいかな
といっても何のことかわからないだろう
おれにもわからない けれど
確かに心が開いているのを感じる
なんのためか
だからどうしたのか、わからないけれど
秋に入った最初の日曜日の午前9時
空にいく筋かの雲 それだけ

184
何も考えなくてもいい
ただ浮かんだまま書き移せばいい
メガネを外して書いた字ははっきりしないけど
それでいい そのほうがいいのかも
車の運転にはさしつかえないほどは見えるのだから
世の中の井戸の底に沈んだ
幾世紀かのあいだの邪悪なものに
ピントを合わせなくていい
それでも見なくてはならないのが我らのツトメなら
せめてきょう1日だけメガネを外して歩かせてくれ

185
詩なんか推敲して書くもんじゃない
浮かぶか浮かばないかなのだ
転機と心が一点で重なり合った瞬間の
火花そのもの

186
メダカの子どもが生まれた
ホラホラと娘が言う
ドレドレと見ても見えやしない
部屋に戻ってメガネをかけてなお目をこらす
いた!いた! 1ミリあるかないかがつつきあっている
(これでもいのちだ)
あたりまえに感激して
いそいそ エサをまく
数日後
数匹だったのが1匹になっている
いのち

187
ふしぎだ
夏の間ずっと書けなかった詩が
ふつふつと今書けている
何がどうしたのか
(思うに)
泉ではなかったのだ
コンコンと湧く詩の泉では
きっと
きのうの夜、大雨が降って
夢の中に
それで あふれたのだ
乾ききった おれの 水たまりから

188
今まで気付かなかったが
仕事部屋のイスのパイプが
他の3本より内側に曲がっている
今日正面から見てわかった
今のところしばらくは支障ないだろうけど

このイスは何才だろう
長年のおれの重さに耐えかねて
ある日突然おれを人質にしたまま倒れるか
おれも正面から見れば内側に曲がっているに違いない
倒れるのはどっちが先か





2018/9/11(TUE)
ない ない ことばがない
この2018年9月4日夜10時47分時点での ことばがない
ノートを開けばまだ 色のある言葉もいる
だが 今のことば 今前後1分ほどのことばがない
明日のことば わからない
きのうのことば もう消えた
今のことば ほしい
だって生きているんだもの
いましか生きてないんだもの
ほら ここ見て 書き終えた
今前後1分ほどのことば



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