Aug 24, 2016

モーツァルトカレンダーで生き返ったグールド

グールドはデビュー曲と死の1年前の最後の演奏が同じゴールドベルク変奏曲で、音楽的生涯はこの二つの演奏にはさまれた25年間だったといえるだろう。その間に弾いたモーツアルトは遊びだといいたがる音楽通が居るが、そうではない。グールドはオリンピック選手のようにその瞬間に生涯を現出する。どんな小曲でも一発勝負だ。それは演奏を聴けばすぐにわかること。日本にはバッハ、バッハと持ち上げる音楽通が多すぎる。下心が見え見えで、醜い。パリの街角にグールドの演奏に耳を傾けるモーツアルトの小振りな像があったらいいのに。そうやって、この素晴しい音楽家を利用するだけで何の力添えもできなかった見栄っ張りなフランス文化のおとしまえをつけたい。私が大富豪だったらそうするだろう。この哀しきふたりの天才の魂を鎮め、音楽の魂の永遠性を記憶するために。
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