May 01, 2016

いま、『新エロイーズ』を読んでいます

モルポワの詩集『イギリス風の午後』の翻訳は3分の2ほどが終り、それらは詩誌『ユルトラ・バルズ』に分けて連載を続けています。いよいよジャン=ジャック・ルソーの小説『新エロイーズ』を下敷きにしたリリシズム論に入ることになります。かなり時間をあけてようやく取り組みの体制に入ったので、満を持して集中したいと思っています。ところで、私のモーツァルト熱はじつはこの翻訳の仕事を進めるためにどうしても通過しなければならなかったことが、今になって分かってきました。ルソーはパリで客死したモーツァルトの母親と同じ日(正確に言えば23時間前の前日)に、パリ近郊のエルムノンヴィルで亡くなっています。そのことはモーツァルト自身には何の関わりもなかったかのようですが、こうして250年近くの時間と距離を隔ててみると、ルソーの孤独がモーツァルトの晩年の状況と怖ろしいほど共通していることが浮き上がってきます。モーツァルトは精神的にルソーの息子(34歳年少)だった、そう言い切れるかもしれません。ルソーの『孤独者の散歩』を再読してその思いを新しくしています。これだけは仕上げないとと決意を新たに……
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