May 09, 2015

連休に読んだ本

『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』岩波文庫
厳しいタイトルのわりには、身辺エッセイ風で読みやすい。宣言 の内容も驚くほど明快である。ブルトン、この驚くほど率直な男。
『東京大空襲とは何だったのか』田中清光 詩文集、巻頭の
デカルコマニーの紅蓮の赤が衝撃的である。言葉では足りない
表現の限界を知ってのことだという。言葉とは、戦争とは 、果ては人が生きるという意味について再考させられる。私的には おとなしく生を終るのが、その間に同僚であるさまざまな生きものを 大切にする、それがベストではないかと再び思わされた。 また、くねくねと死をすり抜けてよくここまで生きている自分が 可愛らしくしたたかだなとも思う。
『工藤政秀展ー絵画の 体温ー』 
句誌『朱夏』の表紙挿絵にずっと魅力を感じていた。青嵐の季節に緑の 風が吹き抜けていくような清潔な展示。南青山始弘画廊。観客が 私だけだったので、15分ぐらい面談が出来たのが楽しかった。 ボディーペインティング、故郷の泥をからだに塗りつけて自家製の キャンバスに転写するとの話に、田中さんのデカルコマニーを 思った。画家がこんなにすっきりと存在できるなんてうらやましい 。イタリア滞在の収穫。甘さのない清廉な線。辻憲さんからの、「言葉は人のこころから生れるのだということを改めて考えました。線も そうですね 精進あるのみです」と記された数日前のハガキの言葉と重なった。
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