Jul 12, 2013
バイオリン独奏者のいないバイオリンコンチェルト
昨日ユーチューブをうろうろしていて出くわした音楽。ローレル指揮のモーツアルトにシメシメとクリックしたが、曲が進んでいるのにいっこうにソリストの姿が映らない。溌剌としたメロディーは聞こえているのに。40年も前に浴びるほど聞いたパールマンの弾く誰でも知っている3番。(このひとは足が悪いので確か指揮者の横で椅子に座って演奏したと思う。)気のせいか、パールマンよりさらに透明度が高く、軽い。無重力空間で宇宙飛行士の耳に聞こえるのではないだろうか。晴れ渡った青空。とにかく曲が速い。前から3列目までほどのお客さんと指揮者しか映っていない。ソリストを出せーとじたばたしているうちに、ピンと来た。これはあいつだな。きっとコンサートマスターが自席を立たずにソロパートを弾いているのだ。先日ビゼーの「真珠採り」のアリアを仰向けに寝て歌う日本人テノールを画面で見て、いじわるな演出だと思ったが、歌手の中島康晴さんは難無く歌っていた。奥行きのある美声だ、それを思い出した。ローレルとショーヴァン、二人は目下30代の演奏家だ。そしてこんなドラマをさらりと仕組む。つまり、彼らは自分たちのレベルで音楽を作る。自分たちに合わないものは捨てる。自分たちの気持ちを表現する。ローレルは指揮者やソリストは別格でメンバーは彼らに従えなどつゆほども思っていない。1つの曲をメンバー全員で持ち場を果たして創りあげる。1楽章が終わると、指揮者が微笑む。みんなも楽しくてしょうがないという様子。ただしこの映像ではメンバーはほとんど映されていないが。音のユニゾンに少しの乱れもなくぴたっと決まる。この人たちは音楽をどんどん変えていくだろうと思う。聞いているほうも楽しくてしょうがなくて、もう終わっちゃうのかと名残惜しい終わりのワンカットでこの二人が微笑みながら握手をする映像が一瞬だけあって、いっそう楽しかった。
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