Aug 25, 2013
マルク・コベール『骨の列島』発売
1964年生れのフランスの詩人マルク・コベールの異色小説『骨の列島』が本日発売されました。洪水企画(ネットでブログをご覧ください)からの<詩人の遠征シリーズ>の第2弾です。新書版ほどの縦長サイズ、詩篇も含めて全207ページ、アルバトロスをイメージキャラにした清新なセンスの装丁は巌谷純介氏です。タイトルの『骨の列島』は様々な経緯のすえ、編集の池田康氏の命名に落着きました。かばんに入れて、仕事の合間に、駅ホームの休憩ボックスでも、手軽に読むことができるでしょう。いったい日本に来た外国人は日本の風土、日本人にどんな皮膚感覚を持つのだろうか? コベールの日本観は今までのこの種のややヒステリックな感想とは一線を劃していて、1フランス人として、30代の若者として、平常心と皮膚感覚をそのままに、この大いなる異文化への率直な遠征を試みています。フランスでの日常に帰着した現在、椎骨を並べたようなはかない国土の上に高度な文化を築いてきた日本人への懐かしさが消え去ることはないようです。Aug 14, 2013
My affections to Jaroussky
もしジャルスキーがフランス歌曲のCD を出していなかったら、装飾音符の技巧が見事なバロックアリア歌手とだけの認識だったろう。CD 『OPIUM』をいやになるほど聞き続けることで、私のアフェクションは老い猫のスーと同じ位置を占めるようになった。 そこで:ジャルスキーの歌う楽曲ナンバー5:①レイナルド・アーン+ヴェルレーヌ詩「白い月」
②レイナルド・アーン・+テオフィル・ド・ヴィオー詩「クロリスに」
③JCバッハ+メタスタジオ詩「甘い炎」
④レイナルド・アーン+ヴェルレーヌ「牢獄から」
⑤ヴィヴァルディ歌劇”Andromeda liberata”より「いつも太陽は(ペルセオのアリア)」
次点⑥エルネスト・ショーソン+ルコント・ド・リール「はちすずめ」
①は絶対美。他のどの歌手より完成度が高い。抽象度と言い換えてもいい。楽曲の完璧な完成度に息吹を吹き込む若い声質が魅力。
②は個性美。ジャルスキーの右に出る歌はいまのところない。「ぼくにぴったりです」と本人が言うとおり、デビューから間もないジャルスキーの初々しさ、素朴さが絶妙。やがて大歌手になってこのみずみずしさは失われるのだろうか。
③はオケの力。ローレルの控えめかつ超快速特急のような疾走感がたまらない。ローレルさんいいね!頼りにしてまっせ!
④は透明美。地上のわれわれにある瞬間に奇蹟的に見えるクリスタルな世界。ルミューのコントラルトの暖かなふくよかさも捨てがたく、甲乙つけがたし。
⑤は地中海天使スピノージのバイオリンが乗せる照らされた内面性。繁栄の極みの憂愁。Look at me! と叫ぶ兄貴。歌唱自体はチェンチッチのさらに内面的な声質のほうが適しているかもしれない。
⑥はこれも、親しい兄貴デュクロのピアノがリードしている。ジャルスキーはほんとに共演者に恵まれている。共演者の音楽に乗って自分に没入していく。加えてマナーの良さが優れた才能を引き寄せるのだろうか。うらやましい。これからもこれらの音楽家とどんどん共演してほしい。練習シーンを見るとかなりクサイ表情で口をゆがめて、指揮者に文句をつけていることがある。持ち前の才能を恃む自信ときちんと勉強してきたという自負(譜面主義)で完全武装しているなという感じ。
それが無いと世間は渉れまい。
コベールの小説『骨の列島』は今月末刊行です。
5つのエピソードのうち「ノゾキとチカン」が出色です。
Aug 01, 2013
お盆休みのとば口で
天童大人プロデュース 詩人の肉聲とコトバとを聴く!Projet La Voix des Poètes 詩人の聲 第986回
有働 薫の声
書き続け、読み続ける詩
1. 白無地方向幕(近作)
2. 兄というもの(近作)
3. ターンテーブルの月(新作)
4. サヴィニオ――まぼろしのオペラ(新作)
5. 水に揺れる影(及川恒平)
6. ジャック・ルボー氏に(マルク・コベール)
7. 夕風――六月の歌(マルク・コベール)
8. 影とともに(マルク・コベール) 他
詩人マルク・コベールの日本滞在中の経験を素材にした小説『骨の列島』の日本語版が洪水企画から今月末刊行の予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
2013年8月12日(月)開場17:00 開演17:30(夕方5時半です)
イスパニカ Hispánica 溜池山王教室
〒107-0052 港区赤坂2-2-19 アドレスビル1F
℡080-4119-9711(神田)
地下鉄銀座線・南北線溜池山王駅8番出口向い アドレスビル
入場料 予約 大人2,700円 当日3,000円
学割1,500円(学生証呈示)
ご予約は天童Mobil090-3696-7098まで