Oct 03, 2006
もう秋か!
日本でも、今頃の季節に多くの人から漏れ出る嘆息 L'automne déjà! は『地獄の季節』の「別れ」という詩の出だしである。ランボーは19才か。67才でそれをくり返しても、しょうもないが(まるでお笑いだ)、今朝のように頭が空っぽのときこのフレーズはふと口を衝いて漏れ出す。そして詩というものは、年令の範疇にはけしておさまらないものだと実感する。だが、かつてのように澄み切った秋が今年訪れるのだろうか?秋めいてはきたが、蒸し暑い。まだ南の海には大きな台風の卵たちがぶくぶくと涌いている。今年の台風で泥水をかぶった地方の人たちは、もとの暮らしを取り戻すまで秋どころではなく、へとへとだろう。季節の節目の唐紙をそっと引いて、合いの着物に更衣した女が端然と座っている、青い桔梗の花のようにパッチリとした季節の交代を、何かと、例えばクーラーとかと取り替えてしまったのかもしれないと、不安がふとよぎる。
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