Feb 06, 2007

三木宮彦さん

昨日、郵便受けから取り上げた葉書におもわず呻いた。年末に父上を101歳の天寿で送られたと知らされていた。昨日の葉書は三木さんが昨年12月11日に亡くなられたとの知らせで、奥様から添えられたメモによると、1年半の闘病だったとのこと、『ジャンヌの涙』をお送りしたのが2005年8月のこと、8月18日付けで返事のお葉書をいただいている。そこには、私が多々引用させていただいたご本『ジャンヌを旅する』についてのコメントもあり、また《「お使いの川」などたいへん身近に感じます》ともあるが、なにも三木さんご自身の健康に関することは表れていない。『ジャンヌを旅する』は2004年4月の発行なので、2006年12月から1年半さかのぼると、2005年6月、この素晴らしく個性的な本の出版からわずかに1年2ヶ月のことだ。こうして年月を追ってみると、ひとの命が瞬く間に燃えているのがわかる。あらかじめの許可なくこの本からさまざまな引用をさせていただいた(もちろん本の中では注を添えてその旨お断りしてあるが)ことに多少の危惧を感じながら、ともかくも真っ先に贈呈に添えてご挨拶とお詫びをしたためたのだったが、そのご返事があまりにも100%の燃焼を思わせる純度なのを「意外」と感じて、びっくりしたのだった。その後『星宿集』と題するお詩集もいただき(この中には忘れがたいソネット数編が含まれている)、ムーズ川のカラー写真も送っていただいている。闘病なさりながらのことだったに違いない。ひとは自らの命を語らず、愛する人の命のみ語る。たくさんの恩恵を受けながら、お眼にかかることもなくお別れし、わたくしにとってまさしく「古典」となられたという感じがする。

 道の辺に御堂かたぶき雲の峰
   「旅中即事」として
  お詩集『星宿集』の扉に書いてくださった三木さんの句である。
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