Aug 22, 2006

李登輝『武士道解題』

近所の奥さんに病気の猫を見せてもらいに行った。この「カラコ」ちゃんはうちによく遊びに来ていた。茶と黒のまだらで、お世辞にも美女とは言えないのだが、その性格の珍妙さによって、ほっておけない子なのだ。踏み潰される時にでも出そうながらがら声が、なんとも耳障りだが、頭をなでてもちっとも嫌がらない。帰っていく後姿に呼びかけると、わずかにふりむく。それから悠々とお尻をふりつつ姿を消す。目が銀杏のあの緑色。可愛くないが可愛い。妙な猫だ。もう4,5ヶ月姿がないので、通りで会った奥さんにお悔やみを言うと、まだ生きてます、と言われてあせった。玄関の階段を登れなくなったので、外には行かなくなったそう。半畳ぐらいのスペースに敷物をいっぱいして、それが彼女の生活圏になっていた。痩せてはいるが、あの毛並みは変わらず。主人が可愛がってね、とよろよろ立ち上がるのを抱き上げて奥さんがこちらに近寄せてくれた。「ぎゃ」とあのしわがれ声も弱弱しくなってはいるが、健在。あなたは幸せな老後だね、人(猫)徳だね。とちょっとうらやましくもなった。カラコは今猛暑と闘っている。奥さんは台湾生まれだそうで、この本をくれた。小学館文庫、345ページ、今日はこれに取っ組むぞー。
先週の土曜日の余白句会への投句3句は、以下の通り:
    ジェット機轟音塩辛とんぼ逃がせし夜
  旅人かへらずモン・サンミッシェルに花火上る
  コーヒーセット掘上ぐる穴終戦日(下5秋暑しを改作)   かおる
だいぶ物議をかもした。若い子のために書いているのだが、上の世代への感受性に乏しい若い世代のなかで、ついて来れる鋭敏さを持った子はまず、いないだろう。ほとんど絶望している。
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