Sep 30, 2005
動物病院から。
腎臓の数値があまりにも悪いので、一昨日入院したセナが、病院の食事をまったく食べないというので、医師の了解を得て連れてきた。持続点滴をちょっとだけ中断して。
家に着いたら、ササミジャーキーを一生懸命食べて、キャベツも食べて、アジの干物も食べた。
セナは神経質なのだ。
今朝はセナを再び病院に連れて行った。
毎度なので「ワンちゃん元気ですかぁ?」なんて言ってくれるタクシードラーバーさんも、そろそろでてきた。
タクシーを毎度呼んで、セナを乗せるのは結構神経をつかう。
箱に入れて運ぶのだか、吠えたりしないもののカーブなんかで揺れると、ばたばたする。
「犬がいます」とちゃんと言ってるのに、不服そうな運転手さん。
静かに運転してくれる人もいるけど。
今朝は、わたしも虫の居所が悪かった。
降車時にダンボールをずるずるひきずっているとき、ばたばたと犬の毛は嫌いな人もいるんで・・・とやりだし、「ガムテープ持っておいでよ。安いんだし」としつこく言い出した。
はいはいと言いつつ、病院の玄関をみたら能弁な医師が見守っていてくれていた。
わたしは若いときハイヤーの運転手を、怒鳴りつけたことがある。
「いやあ、びっくりしたよ」経理のおじさんが、言った。
老人ホームに行く、おばあさんの荷物を、そのハイヤーの運転は持つのをしぶったからだ。
持ってくるのは、行李ひとつと施設の人は言った。
どれだけ悲しい思いをしていただろう。
そうやって詰められただろう荷物を、大切に扱わない。
だから、腹が立った。
わたしにできることは、そういうことだけだったかも知れない。
動物病院の帰り道、最近見つけた乾物屋でキャンディーをたくさん買った。
乾物屋さんは不便なところにあるが、しっかりしたものを売っている店だ。
「ワンちゃん、どうですか?」
「末期なので・・・。でもいなくなったら父がいなくなるような気がすると思います。父がかわいがっていたので」主は顔をくもらせた。
もう、それだけで充分だった。
わたしにとって特別なものが、他人にとって特別とはかぎらない。
そういう見方をしようと自分を支えているからだ。
死は本来個人的なものだ。
そんな思いで帰ってきたら、昨夜セナと一緒に寝たからか熱がでた。
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