Aug 03, 2005

今日は辻征夫さんについて。

私が初めて辻征夫さんの文章を読んだのは、1998年9月号の「新潮」誌上でした。
そこに辻さんの小説「黒い塀」が載っていました。
つまり私が辻さんの書いたものを最初に読んだのは、詩ではなく、小説だったのです。
そのころまだ私は詩のことを全く知らない、小説を好む人間でした。
その時も(面白い小説はないか)と図書館で文芸誌を片っ端から読み漁っていたのでした。
発見した辻さんの小説は、ほかの小説とは一線を画す雰囲気を持っており、これは面白いと思いました。
それでほかの作品も読みたいと思い、小説のコーナーへ行って探しましたが、まだ辻さんの小説は単行本化されていない上に、もとより辻さんは詩人なのですから当然見つからず、本屋もまわって探しましたが無駄でした。
後日、たまたま大きな本屋の詩のコーナーを眺めていた時、しばらく前に探していた辻征夫と言う名前が目に入りました。
「俳諧辻詩集」と言う本でした。
そこで私は初めて辻征夫が詩人であることを知ったのです。
本を開いて見るとまず変な俳句があり、それに呼応するように幾つかの詩らしきものがあり、そしてまた俳句があり、と言う構成でした。
俳句の方は良くわかりませんでしたが、詩の方を見て驚きました。
いままで見たこともない魅力的な言葉が、そこかしこに転がっていたのです。
私はどきどきし、俳諧辻詩集は税抜で2330円もしましたが、すぐに買って自分の所有にしました。
何度読んでも飽きない、面白い本でした。
それから私は辻征夫さんの本を出来る限り入手し、恐らく辻さんが書いた殆どの詩や散文を読み、そのどれもを好きになることが出来ました。
そんな書き手に出会えることは滅多にありません。
その後、幾人かの詩人の作品に接しましたが、辻征夫さんは私にとって特別な詩人であり続けています。
決して辻さんの作品を真似した詩を書こうとは思っていませんが、現代詩手帖に投稿していた時に選者の方からいただいたコメントを見ると、やはり少なからず影響は受けているようです。
最初に好きになった詩人ですから、これはもう仕方ないのかもしれませんね。
Posted at 01:41 in n/a | WriteBacks (1) | Edit
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さくさく

小川さん、ホームページ開設おめでとうございます。お家のアイコンかわいいですね。辻さんの作品をこんなに愛しているひとがいるなんて!詩を書くってすごいことなんですね。

Posted by うどうかおる at 2005/08/03 (Wed) 08:42:36
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