Feb 27, 2008

竹熊健太郎『箆棒な人々』河出文庫2007

 巨匠竹熊健太郎が戦後の大変人巨匠たちと対決する本を読んだよ。この本は気楽に読めるぜ。けったいな爺さんが出てきて、えんえんとスケールのでかいのかしょぼいのかわからない爺さん自身の歴史を語る。
 康芳夫、石原豪人、川内康範(森進一に『おふくろさん』歌うなって怒っている人で月光仮面の原作者)、ダダカン。ほとんど知らん人ばっかり。
 竹熊によるとタイトルの「箆棒(べラボー)」って、元々の意味は悪口なんだって。確かに「べらぼう、バロ畜生め!」ってチビ太(おでんを持って走っている人)が怒っていたような。だけれど、竹熊は「瞠目すべき」「とんでもない」「グレート」なんかでは追いつかないくらいすげえという意味で、「箆棒」と使うって断っている。こういうふうに前書きで書くとこも真面目。取材姿勢も爺さん達にきちっと筋というか礼儀を通すのだな。爺さん達も受けて立つ。その立会いが古風なので襟を正す。そして変な話のオンパレードにずっこける。爽快な本です。
 この本の初出は雑誌「クイック・ジャパン」の連載であった。連載当時「クイック・ジャパン」は出たばかりで、その頃のこの雑誌はとても好きだった。けれども、竹熊氏の連載はえんえんしらぬ爺さんが出てくるばかりで敬遠していた。今読んでみて不明を恥じるのである。



※追記=実は先だって芥川賞を受けた作家が紹介されていたとか。竹熊さんの本は前から好きで、この本も気になっていたのです。芥川賞には負けないぞっと決意も新たに読みました。でも読んだ時点で芥川賞作家の思う壺ですな。面白いからいいんですが。
Posted at 00:11 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
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