Aug 19, 2007
「天国で見守っていましょう」
某所の合評に参加。不調というか、書くことに迷いを感じながらも、何とか詩をひとつ提出できた。思ったより早く解散になったので、家で食事。24時間テレビがやっていた。不意にチャンネルを合わせてしまったのだ。特に、あのマラソンは苦手で、心が苦しい。見なければいいのだが、萩本欽一が走るので、坂上二郎さんが応援に来ていた。僕は萩本さんは苦手だが、二郎さんの風変わりな人柄がなんとなく好きなので、そこはじっと見た。脳梗塞で、数年前に倒れて、回復された後、NHKのスタジオパークという番組で見たことがある。そのときは、自然のあるところに移って暮らしておられるのを、少し滑舌が悪い気もしたが、快活に話しておられた。リハビリのことも話していて正直勉強になった。しかしである。萩本さんがスタートラインに立ち、いろんな人が応援に来る。最後に二郎さんが登場。しかし、二郎さんはこわばった顔で、「イヒヒ」と笑いつづけるのが精一杯なのだ。萩本さんが「なんかしゃべれよ」と2、3度つっこんでも、ほとんど話さない。
とうとう、そのまま萩本さんがスタートすることになった。レポーターに「一緒に見守りましょう」と云われた二郎さんは、こういった。「天国で見守っていましょう」と。
当然、レポーターは何言っているんですかとつっこんでいたが、二郎さんは相方のことが心配だったのではないだろうか。なんでこんなことをしなきゃいけないのという気持ちも僕はその発言に読み込んだ。二郎さんは死線をくぐっている。コンビと云っても老人二人である。色んな気持ちがあるだろう。それに奇妙な雰囲気。二郎さんの戸惑いや、悲しみや、まあ、単なるギャグかもしれないが、そんなものが伝わってきた。二郎さんを悲しませないでほしいと思った。そして、皮肉というか本音が言える二郎さんはやっぱりエライ人だと思った。
その後、レポートを書かねばならないので、ビールを間に挟みながら勉強した。小澤勲『認知症とは何か』を読む。あまり、直に認知症の方に接していないので、レポートを書けるか心配というか忸怩たるものもある。しかし、小澤勲の本は、入門書としては非常に丁寧で、おまけに小説の話も出てくる。だから、売れているようだ。小澤勲さんをNHKで見たとき、何となく、自分の好きなタイプの人ではないと思った。小澤勲さんは、末期の癌を患っている。岩波の前著でそのことを書いてから、5年近くは経っているのではないだろうか。人間の生命はかなり不思議なものだと思う。
そのあと、ラストサムライを見た。公開当時感動したが、今日は普通に見た。僕は恐い映画が好きなのかなあと思うが、どうも「あきらめずに戦う」姿に惚れていたようである。マラソンに感動する人と何がちがうのか少し悩んだ。あきらめずに戦うというのも、大事なことだが、がんばる老人を無理に作り上げるのは好きではない。ああいうのを見ると「好きなように生きる」ってそもそも難しいなあと思う。好きなようにというか自由に生きるというか。
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