Oct 15, 2006

カポーティ

Capote

 監督=ベネット・ミラー
 脚本&製作総指揮=ダン・ファターマン
 主演=フィリップ・シーモア・ホフマン

 これはほとんど実話にもとずく映画だとみていいのかもしれません。「遠い声、遠い部屋」「ティファニーで朝食を」などを書いて、「早熟の天才」と言われたアメリカの小説家「カポーティ(1924~1984)」は、小説の新しい素材として、一九五九年十一月十五日、カンザス州ホルカムで起きた「クラッター家の家族四人惨殺事件」のニュースに注目する。 逮捕された犯人は若者二人であり「死刑」が決まった。
 しかしカポーティはその二人を生かしておいて最後まで徹底した取材を行うために、別の弁護士をたてて裁判を引き伸ばし、二人の刑務所の面会人リストに自分の名前を入れておくように説得し、さらに自由にいつでも二人に面会できるように刑務所長まで買収するのだった。
 こうして、カポーティの徹底した取材が始まり、二人の犯人と作家との対話が繰りかえされる。その間にこの三人の間には疑念とともに、深い友情に似たものも育ってゆく。しかし小説は着々と書きすすめられて、最終章の「死刑」を書く時期になっても、彼らの死刑判決は決まらなかった。現実の死刑判決がついに執行される時、カポーティは涙を流しながら立ち会った。その小説「冷血」によってカポーティの名は一気にアカデミックなものに高まる。それはカポーティの最後の名声でもあったのだが。。。

 作家であれ、殺人犯であれ、幼少期に親から心に受けた傷は同質のものだった。耐え切れないほどの孤独と恐怖、あるいは貧しさなど。「冷血」は一体誰だったのか?フィリップ・シーモア・ホフマンは「天才」「ホモ」「アル中」「ヤク中」というスキャンダラスな作家「カポーティ」を見事に演じていました。彼はアカデミー賞主演男優賞を受けています。

 秋晴れの日の午後、日比谷シャンテ・シネで観ましたが、死刑現場は目をつむっていて、観ていませんでした。その日は「十三日の金曜日」。

 「クラッター家」は広大な小麦畑のなかに、ぽつんとある白い家でした。その風景は過日に観た映画「ローズ・イン・タイドランド」にも見た風景。日本の田園風景では絶対にありえない風景、そして孤立の風景でした。
Posted at 15:18 in movie | WriteBacks (0) | Edit
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