Mar 07, 2006
死者の書
監督 川本喜八郎(人形作家) 原作 折口信夫
した した した。。。
こう こう こう。。。
はた はた ゆら ゆら はたた。。。
この物語は音楽のようだ。。。
三月二日午後、岩波ホールにて、川本喜八郎監督による、人形アニメーション映画「死者の書」を観ることになって、何故か心をせかされる思いで、折口信夫の同名の原作を再読しました。これほどに映画を観る前に原作が気になったという経験はかつてなかったのだが。。。映画は、原作を少々省いた部分があったが、原作から想像された「大津皇子」の幻想の姿、「藤原南家郎女」の美しい現実の女性像、また全体の物語は原作に忠実であろうと作られたものであったと思う。
この「死者の書」の物語の舞台は奈良時代の平城京。最も新しい文化であった仏教を軸にして、語り部による当麻寺を麓に抱いた二上山の伝説、その時代の富と権力の争い、疫病など・・・さまざまな要素が盛り込まれた物語であって、わたくしには、とても簡単に書き尽くせないと、すでにペンを投げかけている。。。
大津皇子(天武天皇の皇子)は「磐余の池」にて非業の死を迫られたこと、その処刑の直前に、皇子に一目逢おうと駆けつけた「耳面刀自(みみものとじ)=藤原鎌足の女。不比等の妹。大友皇子の妃」の美しさのために、死者となってからも皇子の魂は鎮まることがなく、五十年後に彷徨い出ることになる。その魂に呼ばれたのが、「藤原南家郎女(ふじわらなんけいらつめ)=藤原武智麻呂(むちまろ・不比等の子)の子の豊成の娘」であった。この物語の主軸は、清らかな生者の郎女による、死者大津皇子の「魂鎮め」であるだろう。そして民俗学者・歌人・詩人である折口信夫のあらゆる美的要素が凝縮された「書」であることも見逃すことはできないことだろうとおもわれます。
この映画を観たこと、その原作を再読したこと、その季節はまさに「馬酔木」の花の咲き出す季節であったことも、ずっと忘れられない思い出になることだろう。語り部の歌の一部を引用しておきます。
ひさかたの 天二上
二上の陽面に、
生ひをゝり 繁(し)み咲く
馬酔木の にほへる子を
我が 捉り兼ねて
馬酔木の あしずりしつゝ
吾はもよ偲ぶ。 藤原処女
【付記】
ちょっと気持の負担の多い時期なので、書くことは先に延ばそうと考えましたが、湧き立っている今の気持を忘れないうちに、未消化ながら、とりあえず書いておくことにしました。
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