Nov 27, 2006
贈答の詩④ 秋山公哉詩集「河西回廊」への挨拶詩
「西域」は秋山公哉さんの少年時代からの憧れの地、大学も「大谷探検隊」の資料に触れることのできるところとを選んだ程の長い夢であったようです。どうやらこの詩集はその旅を終えた報告の書と言えそうです。また、この詩集は以前からの詩集とは異なり、すべてご自分で手作りされたそうです。見事な作りで驚かされましたが、この「手作り」に拘ったということにも、秋山さんの深い思いがあるのかもしれません。
旅は四章に分けられて、「河西回廊」「蒙古高原」「玉門関」「天山南道」となっています。残念ながらわたくしが記憶を共有できるのは「蒙古高原」のみですが、この詩集から幻の旅をさせて頂きながら、一編の詩を書いてみました。
砂の記憶
そこには草原と空だけがあった
その境目あたりから
風が吹き 砂が舞い 光が広がる
雲は雲の形で地上に影を落す。
陽に焼けた額に知恵を満たしている
羊飼いの少女よ 馬上の少年よ
草の海の人々よ
わたくしたちは潮の海を渡ってまいりました。
幻の回廊をめぐり
牛が水を飲む一筋の河を渡り
砂に埋もれた城壁をさがしつつ
揺れる空中桜閣を追って。
そして草原から砂漠へ
生きているものはすべて砂に還り
神々は静かに風紋を渡り
わたくしたちの足跡も消えました。
永い旅の終わり
またここから始まる旅
吾亦紅の咲く野辺に立って
この花の名前の由来を再び思うのです。
(二〇〇六年・私家版)
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