Jul 02, 2005
高田昭子日記 2004年6月
2004/6/22(tue)貧乏神
梅雨の初日、二人の貧乏詩人が場末の居酒屋で飲む約束をした。しかし午後六時半、店はまだ開店していなかった。店の前で「どうしようか?」と思案していたら雨が降り出した。傘もなく、別の店に入る気にもなれない二人は近くにある神社に非難することにした。雨宿りの軒先を借りるには、神社の賽銭箱の奥しか場所がない。そこに腰を下ろして二人はまだ明るさを残す新宿の空を眺めながら、半時間ばかり物語つくりを楽しんだが、話の結末はいつでも「心中」とか、「失恋」とか、暗いのだ。
その時、一人の美しい女性がお参りにきた。「これはまずいのでは。」と気づいて二人はこっそりと神社を出て、目的の居酒屋に向かった。店はすでに開いていた。店の主人に、神社の雨宿りの一件を話すと、「あそこは商売繁盛の神様だよ。そのお参りの女性は恐らく開店前のお参りなんだろう。」という答えがかえってきた。「それは悪いことをしてしまった。その女性は我々のような貧乏神に願い事をしてしまったのだ。」災いのないことを祈る。
2004/6/6(sun)
俳句
蛍囲う武骨なおのこの掌のたわみ
睡蓮や夜毎にのべる死のしとね
紫陽花やまぐわいひそと吃水線
朝顔やつる伸び出づる夢の垣
泉汲む水輪に落ちるイヤリング
首飾り吾の復路を冷やしおり
夏祭素足にきつい鼻緒かな
わたしくに浮力ありたふ蓮の花
半夏生さざなみ聞こゆ君の胸
青嵐いとしきひとへののぼり坂
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