Dec 30, 2008
百人一首
我ながら無謀な計画であったとは思いますが、この百首のすべてに五行詩を付けるという「百人百詩」という試みがどうやら終わりました。今年いっぱいで完走という計画は、滑り込みセーフでなんとかクリアしましたが、何故これほどまでにして自らを追い立てているのか?と途中からは疑問が浮かびましたが、完結できない自分も許せないような気持もありました。自己評価としては優れた作業だったとは決して思えませんが、いたしかたございません。長い期間のお目汚しで、失礼しました。やさしい祖父との、平仮名が読めるようになった幼い日からの遊びとしてはじまり、高校生時代には「百人一首・クラスマッチ」の選手となったこと(スポーツ分野では選手にはなれませんでした。笑。)などなど、いつまでもなつかしい思い出に残っているものを、ここでなんとか留めておきたいという願いもありました。この詩作業中にお世話になった四冊の本を紹介しておきます。これらの本からあらためて古語の解釈の読み直しができました。
私の百人一首:白州正子:新潮社
まず、百首の文字表記が、四冊は微妙に異なりましたので、この本の表記に従いました。歌人の歴史的背景、系図、置かれた身分、出家などの解説、その歴史に現代の白州正子が触れた感動などが書かれています。歌の解釈は主張しない姿勢で書かれていました。
吉原幸子 百人一首:平凡社
吉原幸子は、詩の先達者としてじかにたくさんのことを教えて頂いた詩人です。この本では、歌人の歴史的背景、系図、置かれた身分、出家などの解説も書かれていますが、ここに一編づつの詩を書き添えてあります。「恋の詩人」と言われた吉原幸子にふさわしい仕事だったように思います。これがわたくしをこうした暴挙に走らせたきっかけかもしれません。ただし、わたくしがこの作業のなかで、だんだん疲労感を覚えていったのは、日本人の情感の湿度の濃密さを抱いている「哀しい恋歌」が圧倒的に多い点にあったようにも思います。
口語詩で味わう百人一首:佐佐木幸綱:さ・え・ら書房
簡略な歌人の解説ととも古語の解説がなされた一冊です。歌人である佐佐木幸綱の口語詩(五~六行くらい。)が書かれていました。田島菫美のイラスト入りで、少しくだけた印象の一冊でした。
新版 百人一首:島津忠夫:新潮ソフィア文庫
島津忠夫は国文学者。専攻は中世文学、主に連歌・俳諧・和歌などです。さすがに言葉の解説、現代語訳、鑑賞、歌人の略歴、出典や参考文献の紹介などなど、丁寧に書かれています。丸ごと「辞書」のごとき様相を呈していました。
では、みなさま。よいお年をお迎えくださいませ。
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