Sep 30, 2007
トスカーナの花野 堀文子画文集
七十歳の堀文子は人間社会のさまざまな義理を欠いても許される年齢になったという。「老年万歳」とも。そこで日本脱出を企てることとなった。一九八八年三月、ローマに長く住んでいる友人が、広い田園を持つ貴族の古いヴィラを捜してくださって、イタリア語を学ぶ時間もないままにトスカーナに旅立った。三年の歳月、ここでの二ヶ月ほどの滞在と日本での生活とを繰り返しながら、堀文子は自然のおおらかな胸のなかで、たくさんの絵を描いたようです。
春には金色の麦畑とオリーブ畑、夏にはひまわり畑、秋には葡萄畑、冬の聖夜。そしてたくさんの樹々、花々、言葉のなかった頃の子供に戻ってひたすらに描いたようです。このように生きられた彼女をただまぶしく思うのみ。。。
(一九九一年・JTB 日本交通公社出版事業局刊)
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