Jan 19, 2007
「辻」・ふたたび。。。
古井由吉のこの短編集について、もう一度考えてみました。短編集であっても、寄せ集めた作品集ではなく、この一冊には底流はしっかりとあって、一編ごとに時間を追うように展開されていました。テーマがなんであるかも、初めて古井由吉の著書に触れるわたくしにも、はっきりと見えるのでした。これはわたくしの感受性の問題ではなくて、古井由吉自身の筆力によるものでしょう。これは認めざるをえないことでしたが、しかし今後さらに彼の著書を追いかけるか?と自問する時、わたくしは「はい。」とは言わないでしょう。これは不思議な読書体験でした。
この「辻」を読みながら、しきりに島尾敏雄の「死の棘」を思い出していたわたくし自身の心の動きも説明が難しい。おそらくこの二冊の小説の書かれ方、視点の置き方に、全く異なる「極」をわたくしが感じていたとしか説明のしようがありません。こんな思いを、この本を薦めて下さった方にお伝えしましたら、今度は島尾ミホの「祭り裏」を薦められました。ぎょっ!
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