雨は雨らしくふれ ザンザカふれ 屋根という屋根をぬらし 天井をぬらし壁をぬらし 机の引き出しの奥の封筒の すました眉のような文字にしみこんで 根こそぎ透明にするまで 雨なら雨らしくふれ ザンザカザンザカふれ 先週の日曜のあんな くたびれた霧吹きのような ぐずぐずのイジイジの雨はもう まっぴら 雨が雨らしくザンザカふれば おれの男もザンザカぬれて 尻ポケットのマッチの火照りも 無精ひげの先の思惑も かじりかけのりんごの歯のあとも みんな地べたに流して ザンザカザンザカ きれいさっぱり忘れてやる