2022、感情が溢れる令和の4年 -解決のない年のこと-
冨澤守治
寒い!、これは黙示か
年の暮れはせまる
あたかも日没の急冷のように
強い風の音はさかまく、この冷却された
惑星をめぐる大気のもと、そんな大地の端くれでは
眠りのなか、いつもは
声は音になるまえに、夢のかけらにもならずに
涙のなかに消えていくもの、しかし
熱い思いは確かにそのときにはあり
多くの事件が通り過ぎて行った、いつもの歳なら
かなしみの痛みだけは残るけれども
そのとどろきがどれほどのものであったとしても
雷鳴も叫び声も爆発も、涙のなかに
とどまるのだが、今年は違う年、「解決のない一年」
何かを伝えたいと、それは
旗を振る逆説の事実に迫る、声
どうしてこうなのだろう、こうでなければならないか
この状況、疫病神が現れては消え
そしてまたその神さまの柱(ハシラ)たちは、「残る」
何事もただでは済まされない
あの戦場の荒廃した街路と荒野を見るにつけ
遠い国では
あまりに惜しまれる
死ななくてよい人々の非業の落命
本来であれば、和毛(ニコゲ)に包まれて
大切にされるであろう
精神と、身体は蹂躙された
この国でも暗殺と強奪があった
性犯罪と誹謗中傷が横行し、売春めいた行為が蔓延っている
あいまいな行為は、あいまいなままにされ
ひとの生死をも無視した、気儘な行動と欲、愚かな利得を尊ぶ
繰り返す暴動も理解のできない事故も事件も続けさまに起きる
これらの事象の怪奇
裸の「人間性」が化けただけの偽物の「神様」たち
本当のことと
本物の「神様」は神々しくも、最も貧しく拙いものの姿で現れるもの
愚行に傾くことなかれ、つつましくあれ、清々しくあれ、ひとびと
本能に駆られて物事に痴れるな、ひとびと
いかようにも容認して寛恕(カンニョ)できない
怒りに狂うべき事態
せめてヤマタノオロチ(注)よ、這え!
悪夢という敵はこの地と惑星を襲おうとしている、奪おうとしている
そのまえにこの地上を覆い尽くしてしまえ、さもなくば
もう何度も何度も言われ、語られて来たことだが
この人類の世界は永らえて行けるものか?
理性と良心は問いかけ続けるだろう、もちろん
こんなことをつぶやいている「わたし」にしても「あなた」も、繰り返し
自分たちを問い詰めている
答えのないまま、解決のないまま
「未済」の年
注、「古事記」・「日本書紀」のスサノウ伝説の大蛇は、ここでは考えていない。書いている作者にも、この神格化されたものが何なのか、わかっていない。