くらいはしけ
海埜今日子
むねのようなしたたりがこぶねにながれてゆく
どこまでも 大地をあてがい のまれ
わたしたちははなれない
といっせんをひく
やくそくのなかで転換させたかったのだろう
さかなのゆめがついばみました
まだきっとはがれることが
つかんださきから貨物をいらない
うかぶはしでもあったそうです
みおにそってねがいだけがついてゆく
せつなにのぼりあるいは
おりたかんしょくがたどりついて
しんどうのそとに
はもんたちがおぼえたのだろうか
といをはっしなかったわたしの
ながれる
かれのえらがこいしくて
だからきっとまずいとおもった
のこるようにしずむこえ
ふるい水がつたえたうわさはいつだって
ぶぶんてきにはかかえるようです
かきよせかきわけ
だからきっと
もどれないたびについて
しめったふたをなげたんです
エンジンをもたないふねでしたね
ちゅうとできしむ
いどうがあたりをかえるだろうか
さかなのゆめがきざまれました
まちがえたものがおしだされ
しゅっこうのまえに躊躇する
うけとったさきであなた
いらない
むねのようなふたつがはこばれ
なみだつあたりでたわむれる
えいえんにみえかくれする呼吸だった
しめったあいだにつながれた
ひっかいた
せんのそとでわたしをおわり
うきしまのようだとあなたをはじめる
みおをさすっていられるあいだに
ついたふねが距離だった
わたしたちをはなれないものたちの
さいごの貨物がさしだされる
わたしてください もっと もっと
またいだふたがみずにかえり
うたったきずながさかな
とどめるまでのいきかたです
さわった風がひろがるのだろうか
かれのえらがもう
こぶねのゆめをみはじめていた