かくれんぼ
若井信栄
輝く日
放課後の金曜日
あすもあさっても学校に行かないでいいということが
なぜこんなにもうれしいのか
わすれものばかりして叱られた
とりかえしのきかない学校から
風だけをゆるして
草よりも低くかくれた私たち
中庭のにわとりは、かごの中で確実に卵を産みつづけ
教室のこどもたちは行儀よくお勉強をしつづけて
私たちはかたくなにかくれんぼをしつづけた
金曜日の放課後
みんな帰ってしまったのに
おなかの痛みが通り過ぎて気づいた
わすれものは
えいえんにかくれた私たち
夕焼けに
ひまわりのうなだれている
放課後の金曜日
こっそり大人に
近づいた日
(詩手帖「飛燕」第3号より)