片翼だけの
<ことのは遊び 巻頭詩>

ガラスの鳥は 
飛ぼうとした
自分が 
ガラスだということを忘れて

地上に落下して
砕け散った 片翼は
丸い水滴のように コロコロところがり
四方に散らばる

そのカケラの 転がり方が綺麗で
ひとごとのように 
見とれていた
翼を失った哀しみ よりも先に

顔は 傷つかなかった
もう一方の翼の中には
黄金がある
緑の模様も まだ残っている

失われた翼を隠して
何事もなく もとの位置へ
えぐれた傷跡が痛々しいが
後悔はしない 片翼になっても

密やかな不幸を背負ったけれど
誰にも気づかれないように
なくした翼を こっそり隠し
微笑んでいるふりをする

次の奇跡を ひそかに信じてみる
飛ぶ希望は捨てない
鳥は 飛べなきゃ
鳥 じゃないから



(2005・8・1、蔕文庫 第21号 掲載)

※ 「へたぶんこ」と読みます。








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