二倍の自分で
 

見上げると そこの天井は
鏡になっていた
シンメトリー の自分が写る
向こうの自分が 本当
だったりして
もうひとつの世界の
もうひとりの自分

お願い あなた そちらへ行って
わたしは こちらへ行くから
同時刻の 違う場所へ
そうすれば 
二倍 つかめるのよ

遅れているの わたし
追いつかなければ ならないの
ほかのひとの 二倍の速さで

透明なガラスの向こう側のキッチン
白いシェフが何人もうごめく
わたしも参加させて
詩を調理したいの
オードブルに盛るのよ
わたし流 でいいわね

自由な真昼 午後のランチ
茶花 中国料理店
ピンクのガラスコップの中で
ピンクの氷が 綺麗な声で喋りかける
カラコロ カラコロ
操るのは わたし です



(2005・4・25、詩と創造51 2005春季号
    研究作品  選者;今辻和典 )


評;天井の鏡に映る自分、その虚像と実像がふたつの自己に分裂して、それぞれが同時にふたつの場所を占めていく。その自在な想念を楽しんでいる閑雅な午後のランチ。テーブルでカラコロとコップの氷を揺らす時間が明るく伝わってくる。第三連までと以後の連とが作品の流れとして割れているようにも思えるが、作者の饒舌の独白が皿に快く盛られている。


(※ ご本人の了解のもとに 掲載しています。)


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