希望の森へ
 

ピカソは ね
最初っから あぁいう絵を
描いていたわけじゃぁないんだよ
僕だって

ムンクが
お茶をすすりながら
フリーダを呼び出して 話す
ノルウェーでの白夜のこと

鬱蒼とした深い森の中へ
月夜の夜に入っていくと
そこはもう 記号だらけの世界で
木々の上を見上げてみると
いつの間にかやってきた
フランケンやドラキュラ伯爵が
奇妙な動きを見せながら
葉っぱの陰で 見え隠れする

私はギョギョッとしながら
恐る恐る歩いている間にも
記号はどんどん降ってきて
肩や頭に降り積もる
希望の森へ行くには
どうしても通過しなくっちゃならない関所
ここは そういうところ

誰に教えられたわけでもなく
何故か そんな気がして
希望の森がある と信じて
一歩でも先へ進もうとするのだった

そこには すでに
たくさんの顔見知りのひとがいて
私の夢の中に出てきては
早くおいでよ とささやくものだから
私は 眠るのも食事をするのも忘れて
ちょっとでも先を急ごうとするのだった

5本足にしっぽが2本ある野犬が
よだれを垂らし 牙をむいて
吠え立てて噛み付こうとする
私は命がけで
瞬時に 手なづけるすべを思案し
実行する

何が起ころうと
希望の森に 憧れて
思考も精神も 
どんどん上がってゆくボルテージ

テレポーテーションでも出来ればいいんだけど
そんなことは 習得していないので
やっぱり ひとりで
一歩一歩 歩いてゆくしかないのだった



(2005・3・1、ふくやま文学 17号掲載)




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