保険金不払い問題
再びこの問題であるが、今日も担当大臣のコメントがあった。基本的なスタンスは、ニュースを観るかぎり、あくまで保険会社の企業内部の自浄努力を望むものであるようだ。しかしながら昨年の10月にも書いたように、保険会社・代理店の現在の体制で可能かどうかについては、私にはまだ疑問がある。 廉価な通信販売の保険が存在している現状で、果たして経済的に成立しうるがどうか不明ではあるが、保険契約者と保険会社の間で代理店に変わる、保険会社からは独立した「司法保険士」のようなものを置いてはどうであろうか。弁護士や司法書士に並ぶような、もちろん前二者が兼営してよいであろうが、事故処理に際して契約者の法律事務も自己の名前で行いうる第三の法律職である。司法書士なみの完成された状態で試験を通過後、数ヶ月の国による研修後、自営するような形である。 欧米で保険代理店が社会的に高い地位と存在価値を認められている事情を考えれば、決して夢のような話でもないと思う。確かに私も、長い保険業の間、尊敬できない保険屋もいたが、立派な人格と知識を持った代理店にも多く遭遇した。多くの弁護士・行政関係から保険処理について問い合わせ・相談を、在職中、私も受けた。意外とこれらの法律職の人々は、保険事故の処理について専門的な知識を持っていないものでもある。 多くの点で実現が困難であるのは覚悟で書いているのだが、とにかく現在のような混迷した状態だけは、早く抜け出さなくてはいけないだろう。
こんな夢のような話が実現するなら、医師と同じように顧客の立場に立って、独自の判断力で事故処理・保険設計ができる。これらも優秀な保険代理店が、実際にしてきたものである。それほど保険約款とそれをめぐる法律知識は高度化している。また金融サービスとしての保険のケアは、保険代理店のしていたものとしては精神的なケア、顧客の置かれた社会的状況を踏まえるところまでも含んでいる。典型的なものとしては、事故時、顧客の無念かつ非合理な話を聞いてあげることなどは、PTSDの防止には一番重要なものでもある。比べて弁護士の法律上の交渉・裁判対応は、手続き上、また裁判上は、訴訟経済を考えた、争点を絞ったものになりがちな場合もあろう。 上記の案は、保険業の金融サービスを金銭的なやり取りから分離することにもなる。 (一般的な常識に少し間違っている部分が日本人にはあって、信託銀行などにも同じようなことが言えるだろう。たとえばH氏賞なども信託銀行が資金運用を引き受け、文化庁が詩人会に委託しているのである。貸し金業にも、融資・返済までの過程において、同様のことが言える。金融は、金融サービスをともない、単に経済的な問題だけでもないのだ。)
「こんな夢のような話が」、上の「夢」とは意味が違うが訂正。 ⇒「こんな理想的な話が」
どちらにしてもこんな架空の話でも書かないといけない現状は、誰が見ても、納得が行かないことだろう。
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