「百人一首−恋する宮廷−」
いま高橋睦男さんの掲題作(中公新書、¥740+T)を読んでいる。もっとも読む詩誌と新しく始めた仕事のせいで、昨年京都で取り寄せてから少しずつ拾い読みしていて、読了できていない憾みはある。しかし今回自分の歌をアップしたので、この機会に書き留めておきたい。私には、一読の価値はあるように思う。 この書物で驚くのは、もとは静岡新聞に連載されていたものであるが、高橋氏の古歌に対する驚くほどの識見であろう。定家の選んだ当時、詠まれた当時の「失われた世界」が、通俗的な理解ではただ素朴な情緒を森羅万象に喩えただけと見られがちな古歌の世界を鮮やかに蘇らせてくれる。 全国紙の選と京都の地方紙を見比べて解るのは、やはり関西では近代の叙情的な短歌によらず古歌の伝統が息づいている。茶席などでは歌を詠む場合もあり、それは近代的な短歌ではないだろう。また宮中に和歌を教授していた冷泉家の方たちは、いまでも古典短歌の流派を成している。(一方で昨年、私の損害保険の顧客が編集をしていた「塔」のような歌誌もある。−お互い何をしているかも知らずに15年、保険契約を続けていた。−) 個人的なことを言えば、私の母方は歌も江戸時代からやっていたようで、私はもちろん不勉強で母からの耳学問で歌を、なかば口にでるだけ書いているのだが、近代短歌らしくないのはこの遺伝子かも知れない。(もう少し勉強して、何とかしないといけないのは、いつも反省している。)あるいは叙情的なものをぶっつけるのであれば、現代詩を書いてしまうからかも知れない。 最後は言い訳めいてしまった。またまた反省。
大変な失礼を
高橋睦男さんのお名前、睦郎さんでした。 訂正して、お詫び申し上げます。
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