下り坂
落ちて行くように下る。山を降りるのならそれなりに気持ち良いが、こと人生の…となると、悲しい。 わたしが詩を書けなくったって、世の中に何の変わりもないのだが、わたし自身にとっては大変なことなのだ。書くたびに前作より薄くなり悪くなる。やめる決心がつかないことの方が困ったことなのはわかっているし、ずいぶんそういう批判もしてきた。それなのにわが身一つが律せないとは、悲しいを通り越して、情けない。 白髪も皺も、入れ歯もデブも我慢出来る。でも書けないなんて! 書けなくなる日がこんなに早くくるとは思っていなかった。恥ずかしながら、70歳くらいまでは何とかなると多寡を括っていたのだ。 書けないなんて、我慢できない! 集中しようとするのに、頭がふわぁんと弛んでしまう。老眼で焦点がなかなか定まらないのと一緒だ。誰が気付かなくても自分でわかる。 情けない! 自死したのかも知れない作家のことをニュースで見ながら、他人事ではないことに気付く。彼がどうしてどうなったのか、本人が亡くなっているのだから何事も憶測でしかないが、わたしにはニュースがそんなふうに思えて仕方なかった。案外ただの突発的身体状態悪化なのかもしれないのだけれど。 情けない! ほんと情けない奴だ、わたしは。 もう寝る。導入剤飲んで。 でも大丈夫だよ。寝る前にスイカ食べて寝るからね。 でも、水分いっぱい取って眠剤のんで…おねしょしたらどうしよう!!
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