さようなら
詩誌の年若い友人が逝ってしまった。今頃ちょうど遺体が燃えているだろう。 彼は、2年近く前に、最愛の息子さんを轢き逃げされてしまったのだった。犯人は捕まらず、彼は無念を自らの内臓に向けた。何故だ…、何故だ…! 毎日毎日、昼と無く夜となく攻め立てられた内臓は、縮こまり硬化し異化してしまったのだろう。 彼の息子さんを殺した奴は、結果、2人殺した。いまごろ何をしているのだろうか。…汚い! 彼は、文字通り力を振り絞ってわたしたちの住所を、名前を、書き、そして逝った。 その死の当日、同人たちのところに、砂子屋書房刊『銀と赫』は届いたのである。一筋の光る矢である洸矢君の御霊に捧げられたその詩集が。
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