マニキュア
と言えば、わたしにとってはヘア・マニュキアのことである。言うところの、白髪かくし。 それが、わけあって手の指に塗ることとなった。 さて、どうしよう! 娘時代には塗った経験もあるが、なにせ40年も前の話だから、心もとないこと夥しい。 たしかあれは、壜の蓋についているブラシで塗るんだったな。そしてふうふう吹いて乾かすんだったな。取るときはシンナーみたいな除去剤で取るんだったな。 いそいそとバーゲンのスーパーに出かけ、それらしき棚を探した。いや、何じゃこれは! あることあること。でも、どのビンを見てもマニキャアとは書いてない。1液・2液って、よく似ているけど、これじゃないな。マニキュア、マニキュア、どこかいな。 いくら探してもマニキュアがない。エナメル…、似ているねえ…、そういえばペディキュアというのを聞いたことがあるから、そしてそれは足の爪のマニキュアだったから、もしかしたら手にぬるからマニキュアで、その実は同じものかも知れない。店員さんに聞いてみよう。 でも化粧品のコーナーの店員さんはとても急がしそうで、あのー、というのも気がひける。 口の中で効率よく質問できる言葉を捜すが、これが難問で、マニキュアってどれですか、マニキュアが欲しいんですけど、指の爪に色をつけたいんですけど、あ、爪は全部指についているな、あのー、あのー…。 これで20分たった。壁の時計が外れそうだよー。あ、それは位相の違う発言だ…。 そう。とうとう買えなかった。すごすごと帰宅して東京在住の娘に頼んだ。あのー、親孝行してくれえ〜♪ 昨日、ぷっくり膨らんだ郵便が、ポストの下の牛乳箱の上に乗っていた。 いそいそと塗ってみたが、何と難しいこと! 何と臭いこと! 何と息苦しいこと! 100円だったというアイシャドウも塗って、今現在は助六気分。気分紅葉、いや高揚中。 おっやすみー、みなさん!
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