2019/1 [HOME]

++ 日記 ++

2019/1/28(MON)
196-3
まぶたを開く力もなくなった母
口に酸素のプラスティックカバー
もう自然から半歩はみ出してしまった
声の届かない道をひとり歩きだしている

直接にはなくなった 母とおれたちを結ぶもの
きっと 雲のように見える
この手でつかまえられないものに
なった

・・・そして
あらゆる力をなくしたその手足の
重さ
そのほほの
冷たさ

ほんとうにつかうときがきたのだ
「さよなら」
ということば

2019/1/10(THU)
197
夕方妻が台所で
「何時に食べる?」と聞くので
「う〜ん、6時10分」と答えた
「なんで6時10分」と聞かれたが
「う〜ん」と言うだけ 答えられない

そんなことってあるよね
そんなことってあるね

6時とか6時半とか
そんな区切り方に飽きた?
といって
6時23分なんていうのもなあ

きらいだった納豆汁がおいしくてたまらない
何かのサインのように口笛を吹くことが多くなった

もしかしたら
おれと宇宙のバランスが
変わりつつあるのかな


2019/1/4(FRI)
196-2
まぶたを開く力もなくなった母
口に酸素のプラスティックカバー
もう自然から半歩はみ出してしまった
声の届かない道をひとり歩いている

直接にはなくなった 母とおれたちを結ぶもの
きっと 雲のように見える
この手でつかまえられないものに
なった

あらゆる力をなくした母の手足の
なんと重いことか
そのほほの
なんと冷たいことか

ほんとうにつかうときがきたのだ
「さよなら」
ということば



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日記帳(3) v1.02.00 エース (素材協力:牛飼いとアイコンの部屋)