2015/8 [HOME]

++ 日記 ++

2015/8/28(FRI)
067‐2
だれかおれをみつけてくれ
君の知ってるおれを
おれの知らないおれはどこに


鏡を見てもそれがおれとは思えない
履歴書を書いてもおれはそこにいない
このおれをおれは知っている
でも、知らないおれもここにいる
吐き出したブドウの種はごみか希望か


おれの目はおれを見ない
おれの耳はおれの声を聞かない
おれはずっと前からここにいる
ここにずっといるんだけどさ

2015/8/26(WED)
娘と孫が帰り、静かになり、季節も落ち着き始めた。
秋。秋かな。秋だね。
庭で、スイッチョを見つけた。
あんなきれいな緑の体を見たのは初めてだ。
066
きょう庭で透明な緑の虫を見つけた。
たぶんあれは、ウマオイ、スイッチョとも言ったっけ。
手を伸ばしたら慌てて草から落ちて目から逃れた。
秋の使い。
もうどんなに暑さが戻ったとしても
夏にはもどれない。
一匹の虫がおれの季節を変えた。


2015/8/21(FRI)
067
だれかおれを探してくれ
君の知ってるおれを
おれの知らないおれを


鏡を見てもおれにはおれがわからない
履歴書を見てもやっぱりわからない
いや、ここにいるおれをおれは知っている
でも、知らないおれもここにはいる
足りないしずくが落ちてこないか
吐き出したブドウの種はごみか希望か


おれの目はおれを見ない
おれの声は本当におれの声か
おれはここにいる
ここにいるからさ

2015/8/19(WED)
065
おれは今日何を見たのだろう
昼ごはん後の三十数分の昼寝以外はずっと
瞬きしながら何かを探して
目を見開いていたはずだったのに


見開いて見たものが風呂につかりながら思い出せないのなら
なぜ見るのだろう。
いや、あれは見るのではなく、見えるのだとーー


疲れるというのはこのことか
目が経験したことがその主から忘れられてしまうこと
一日の記憶をつなぎ、伝えるものがないことに
気づいてしまう今日の哀しみ

066
もし僕に少しの才能があるのなら
それぐらいの才能を生きているうちに認めてくれないか
別にお金や名誉がほしいわけじゃない(ちょっとほしいかな)
認められることで自分を認めてあげたいからさ

2015/8/12(WED)
おれは今日何を見たのだろう
昼ごはん後の三十数分の昼寝以外はずっと
瞬きしながら何かを探して
目を見開いていたはずだったのに


見開いて見たものが風呂につかりながら思い出せないのなら
なぜ見るのだろう。
いや、あれは見るのではなく、見えるのだとーー


疲れるというのはこのことか
目が経験したことがその主から忘れられてしまうこと
一日の記憶をつなぎ、伝えるものがないことに
気づいてしまう今日の哀しみ

2015/8/11(TUE)
もうお盆。まったく、早いなあ。暑いなあ。
雨が降らず、日本は乾燥し切っている。
きのうから上の娘と子供たちが来る。
フィールド・アスレチックに連れていく。
064
できなかったものができる
できたのができなくなる
5歳と2歳の孫を連れて
松林の中のフィールドアスレチックへ
夏のあけがた
太陽がカッと目を見開かないうちに
セミのコンクールの準備が整わないうちに


去年できなかった「恐竜の背渡り」をスイスイ渡っていく
できるものが少しずつ多くなる
脳こうそくを患ったというおじさんが通りかかり
ゆっくりポケットから飴を取り出して2個くれた 
できたことがいつの間にかできなくなる


このところ
カラスが明け方大量に集まって騒がしい
この家の屋根の上じゃないだろうな

2015/8/3(MON)
060‐7
顔をあげると
レースのカーテンが風でたわみ
光の池をつくっている
そこに窓の外のタブの木の葉っぱが
影を落とす
風がゆるむと影たちは黙り
風をはらむとチラチラおしゃべりを始める


 汐のにおいがするね
 そろそろキスの季節だね

 きのうあげたよ、5ひき
 まだ、こんなだけど


6月も20日をすぎて
光のあふれる季節
明日からは蟻の一歩ほどずつ
光がけずられ
葉っぱの影も徒長する
今日は今日で終わり
太ももの内側を蚊に食われた
今日のレシート

063-2
目が届いた先に
輪ゴムが一本やすんでいる
ほぼまんまるにひろがって
うつろに口をあけている
やすむ前はどこで
何をしていたのだろう
 (リレキショ、テイシュツサレタシ)
体一本で守ってきたものを
なつかしんでいるのか
与えてあげようか
これから守るべきもの
輪ゴムとして生まれてきたからには
かの締め殺しの木のように
何かにからみたいという欲求を
いつもかかえているのかな
それが君の存在価値だからね
(ジャ、オレノソンザイカチトハ・・・)
テーブルの上の一本のくたびれた輪ゴムよ
30秒ぐらい間だけど
今、君をちゃんと見ているよ

5行詩
だれか見知らぬ人から手紙をもらいたい
手紙、にはそんな誘惑がある
その文字は砂漠で踊る蛇の足跡に似ている
その言葉はすみれ柄のジグソーパズルのピースに似ている
今、この星のどこかの浜辺に緑色のガラスの瓶が打ち上げられた

2015/8/2(SUN)
060‐6
顔をあげると
レースのカーテンが風でたわみ
光の池をつくっている
そこに窓の外のタブの木の葉っぱが
影を落とす
風がゆるむと影たちは黙り
風をはらむとチラチラおしゃべりを始める


 汐のにおいがするね
 そろそろキスの季節だね

 きのうあげたよ、5ひき
 まだ、こんなだけど


6月も20日をすぎて
光のあふれる季節
明日から蟻の一歩ほどずつ
光がけずられていって、やがて――
 



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