2007/6/14(THU)
茨木のり子氏の「寄りかからず」(本当は人偏のついた「寄」なのだが)の文庫版を職場の人が貸してくれた。簡潔、直截、小気味よさ、諧謔と含羞。「わたしが一番きれいだったころ」のころから変わらぬであろう「まっすぐ」の精神はここにも息づいている。
タイトルになった作品を引用させてもらう。
もはや できあいの思想には寄りかかりたくない もはや できあいの宗教には寄りかかりたくない もはや できあいの学問には寄りかかりたくない もはや いかなる権威にも寄りかかりたくはない ながく生きて 心底学んだのはそれぐらい じぶんの耳目 じぶんの二本足のみで立っていて なに不都合のことやある
寄りかかるとすれば それは 椅子の背もたれだけ
ふと相田みつを氏の諸作を思い出してしまった。彼の作品が詩というならば、これも詩だろう、などと不遜な思いがよぎった。心情吐露にごく近いが、ここには屹立する意思がある。挑戦があり、個の自負がある。おわりの三行で、三次元のふくらみがでている。タイプとして、好みではないが、ある意味で詩の原点に近いにおいもする。
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